妊娠カレンダー (文春文庫)小川 洋子
文藝春秋 刊
発売日 1994-02
くつくつ、とジャムを煮込むさるきちも。 2008-11-04
妊娠した姉のために
くつくつ
とグレープフルーツを煮込み
ジャムを作っている、わたし。
姉はその鍋を抱えるようにして
スプーンですくって食べ尽くす。
「アメリカ酸のグレープフルーツには
強力な毒薬が使われており
染色体をも破壊する」
ふと目にした広告。
その毒は胎児の染色体も破壊するのかしら
だからわたしはせっせと
姉にグレープフルーツを食べさせる。
精神のバランスを欠いている姉と
フツーであるようで
やはり何かが損なわれている、わたし。
その二人を結びつけているのが
食べモノだ。
小川洋子氏の食べモノの表現は
とてもグロテスクで
身体の内部を彷彿させる。
さるきちが口にしたものもね、
ぬめっとした腸や、
柔らかい皮が張った胃や、
きゅっと締まった卵巣といった、
臓器へと変容するのだなあ
と、想像することができる。
さらに、
食べ物は
単に身体を形成するだけでなく、
精神にも深く寄与しているのだと、
考えさせられる。
摂食障害で
時に食べモノが敵となり、
食事が苦痛となっている
さるきちにとっては、
彼女の作品て、
何かココロにひっかかるモノがあるのよね。
どうして破綻を期したのが
「食」なんだろう…
ちょっぴりミステリアスな短編です。
本書には、他にも
「ドミトリイ」「給食室と雨のプール」が
おさめられています。
まだだと仰るならこの機会に是非、お求めください。
そこまで強く薦める理由はただひとつ!
あなたに新しい世界への扉を提供してくれるでしょうからです。
内容自体は決して難しくありません。
むしろ読みやすく、理解しやすい文章の記述だと思います。
多くの読者の評価を得ていることも、この一冊が価値の高い書籍であることの証明であるといえるでしょう。
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